2014年02月24日

スラムダンクの続編妄想#403 最高のチーム




「えー。それでは卒業生の皆さんは退場してください」







湘北高校



ここでも例年のごとく卒業式が行われていた。







「では次!3年3組!退場!」



すっ



一斉に席を立つ生徒達



「………」



「………ん?」







「ふぁぁ…もう終わりか?」



すっ



一人の男が遅れて席を立つ







「ちっ…」



その様子を不満気に見つめる男



木暮 「三井のやつ、相当眠そうだな」



赤木 「あのバカモン…卒業式で居眠りなんかしおって」







三井 「ったく、話しが長すぎだったつーの」



グッ



グッ



数回、伸びをしその場を後にする







赤木 「くっ…あんなやつが大学に行けるなんて…」



木暮 「……」

(赤木…まだ気にしてるのか…)



「………」



「………………」



赤木 「ん…?」



近くから視線を感じる







「次、3年5組!」



すっ



一斉に席を立つ生徒達



その中の一人が赤木を見つめている







赤木 「…!」



男の手にはどこから用意したのか県大会優勝旗が握られている



青田 「先に行くぞ…赤木」



赤木 「青田…!」



すっ



高々と優勝旗を掲げ歩き出す







「おい!青田!何やってるんだ!」



「お前!どこからそれを!!」



周りの教師達が止めに向かう







赤木 「あのバカ…」



木暮 「…そういえば、青田も柔道で推薦だったな」



赤木 「…!」



木暮 「あいつなら、大学で全国制覇するかもな」



「………」



「………………」



赤木 「くっ…」



下を向き、悔しそうに拳を握る



赤木 「なぜだ…」

(なぜ、あんな奴らが推薦で大学に行けるんだ…)







「3年6組!」



すっ



一斉に生徒が立ち上がる



木暮 「赤木…?」



下を向いたまま座っている



木暮 「赤木、退場だぞ!」



「………」



「………………」



「くそっ!!!!」



ガタッ!!



静粛な雰囲気の体育館に赤木の声が響く



木暮 「赤木…」



赤木 「む…!?」



「………」



周りを見渡す



「………………」



驚いた表情で赤木を見つめる生徒や教師の姿



赤木 「!!!!」



木暮 「…!」



すっ



顔を真っ赤にし下を向く赤木







「そ、それでは6組の皆さん、退場してください」



赤木 「………」



恥ずかしそうに歩き出す







「ププッ…」







「くそって…赤木のやつ、どんだけ卒業したくないんだよ」







周りからヒソヒソと声が漏れてくる



赤木 「くっ…」

(なぜだ…なぜこうなった…)







その様子を遠くから見つめる晴子



「えぐっ…お兄ちゃん…」

(私も寂しいよ…)



松井・藤井 「………」

(この兄妹…)







そして、3年生の別のクラス



「うぐっ…ひぐっ…」



大号泣している男の姿



「おい、堀田、行くぞ!」



「お前がいかねぇとオレたちも進めないんだよ」







堀田 「三っ…ちゃん」

(オレ…絶対どこまでもついていくよ…)












その後、最後のホームルームを終えた3年生



「おい!この後どうする!?」



「ねぇねぇ!写真撮ろうよ!」



廊下は大勢の生徒達でごった返している








西川 「赤木…あの時は悪かったな…」



赤木 「…!」

(オレの夢をからかった時か…)



西川 「大学でもバスケ頑張ってくれよな」



赤木 「あぁ」







ガララッ



教室を後にする赤木



木暮 「遅かったな、赤木」



赤木 「木暮…」

(待ってたのか…)



キュッ



2人で廊下を歩く



木暮 「本当…あっという間の3年間だったな」



赤木 「……」



木暮 「ツラい事もあったけど…」



「…ーい!!」



赤木 「む…?」



木暮 「…!」



男が2人に追いつく







「ったく…お前ら、勝手に先に帰んなよ」



木暮 「三井…」



三井 「聞いたぞ赤木。なんか、卒業したくないって叫んでたらしいな」



赤木 「なっ!!」

(違う…オレは「くそっ」としか言ってない…!)



三井 「まぁその気持ちもわかるけど、あんまみっともないことすんなよ」



「………」



「くっ…」



赤木 「三井、人の事をいう前に自分はどうなんだ」



三井 「…!」



赤木 「お前こそ居眠りしていただろう」



三井 「あ、あれは…!」

(昨日、鉄男が飯に行こうっていってきたから…)



木暮 「まぁまぁ、2人ともその辺で……ん?」







「…いませーん!」



「待ってくださいー!!」







3名の女性が駆け寄ってくる







「はぁ…はぁ…あの…」



赤木 「…?」



「写真を一緒に…」



赤木 「…!」



「私たち…」



赤木 「……」



「三井くんのファンで…!」



赤木 「!!!!」







三井 「ん…オレ?」



「はい!よかったら1枚一緒に」



「私、バスケ部に戻ってくからの三井くんのファンで…」



三井 「…!」



赤木 「……」

(三井…)



1人の女性がカメラを取り出す



「これ、撮ってもらってもいいですか?」



木暮 「あ、あぁ。構わないよ」



カメラを受け取る



木暮 「よし。じゃあみんないいかな?」



「はい!」



「宜しくお願いします」



木暮 「ん…?」



1人の女性が写真に入ろうとしない



木暮 「あの、入らなくていいんですか…?」



「あ、いえ、私はその…」



三井 「?」



「あ!その子はいいんです!」



「その子は、木暮くんと撮りたいんですよ」



木暮 「…!」







赤木 「!!!!!!」







すっ



1人歩き出す赤木







木暮 「じ、じゃあ撮りまーす」



「はーい!」



木暮 「ハイチーズ!」



後ろから楽しそうな声が聞こえてくる







赤木 「むぅ…」

(オレの夢は全国制覇だ。こんなの…羨ましくもなんとも…)












体育館前



赤木 「……」



入り口の前に立ち、扉を見つめる







赤木 「……」

(3年か…)







脳裏に様々な記憶がよみがえる







「君大きいね? バスケット経験者?」



バスケ部に入部した日







その後の自身の成長と三井の怪我による離脱







「赤木!手伝ってくれよな!」



周りに馬鹿にされても木暮と目指し続けた全国制覇







宮城達の入学







2年時のインターハイ予選



陵南の魚住との勝負







少ない部員達で必死に耐えた激しい練習







天才・流川、超問題児・桜木の入学







3年時のインターハイ予選



海南との死闘



手に入れた全国への切符







そして、絶対王者・山王との戦い







赤木 「……」

(何かを成し遂げたわけではないが…)







自然と熱いものが込み上げてくる







ダン!







赤木 「?」



突如、聞こえてくるドリブルの音



赤木 「……」

(誰だ? 1、2年はまだ終わってないはず)







ガチャッ



扉を開ける












赤木 「!!!!」












桜木 「おせーぞ」



赤木 「…!」



桜木 「いつまで待たせんだ。ゴリ」



赤木 「桜木…」



桜木 「さっさと昨日の続きをやろうぜ」



赤木 「昨日の続き…?」

(リバウンドか…)


 
桜木 「勝ち逃げなんかさせねーぞ」



赤木 「…!」



「………」



「………………」



赤木 「……」

(そうだ。そういうことだったのか…)



何かを思い出す



桜木 「む…?」

(なんか…笑ってる?)












赤木 「……」

(このチーム…湘北が…最高だったからか…)












続く



この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。