2014年03月05日

スラムダンクの続編妄想#413 澄んだ空気




四月下旬



湘北高校体育館







「よし!以上で今日の練習は終了だ!」



宮城の号令で練習を終えるメンバー







「あぁー。終わった終わった」



「今日も疲れたぁ…」



キュッ



各々、体育館を後にする







キュッ



誰もいないリングに向かおうとする桜木







宮城 「花道!今日は自主練はなしだぞ」



桜木 「なにっ!?どうしてだ!リョーちん!」



宮城 「ったく。さっきの話聞いてなかったのかよ。この後先生達が使うって言ったろ」



桜木 「ぬ!…そうなのか」







ガチャッ



タイミングよく体育館に現れる4人の男



「はーなーみち!」



「今日はもう終わりなんだろ!?」



「一緒帰ろうぜ!」



桜木軍団







桜木 「暇人どもめが…」












宮城 「……」

(よし…みんな出たな)



キュッ



ガチャッ



誰もいない体育館を後にする



宮城 「……」

(今日は…久々にあの本でも読むか…)



すっ



部室へ向かおうと振り返る



安西 「宮城くん、ちょっといいですか?」



宮城 「先生…!」

(なんだよ…ビビったぜ)












安西 「これ、遅くなりましたが目を通しておいてください」



すっ



差し出される1枚の紙



宮城 「…?」



受け取り、言われるまま目を通す



宮城 「これは…!」



安西 「そうです。来月の関東大会県予選トーナメント表です」



宮城 「!」



安西 「私たちはシード校ですが、もちろん油断はできません」



宮城 「……」



ベスト4をかけて戦うであろう8シードを確認する



宮城 「!!!!」







「………」



「………………」



数分後



安西 「…というわけで、新入生も加わった各校、この大会は新たなスタートとなります」



宮城 「新たなスタート…」



安西 「インターハイ予選への勢いをつけたい私たちにとって、この大会を制する事は大きな意味がある」



宮城 「…!」

(確かに…この大会で勝てば、勢いに乗れる!)



安西 「そういうわけで、皆さんにお土産を持ってきました」



宮城 「お土産…ですか?」



安西 「えぇ。来週、練習試合をします」



宮城 「…!」












湘北高校校門前



ザッ



ザッ



桜木を先頭に歩く桜木軍団



桜木 「ぬぅ…」



チラッ



桜木 「……」



チラッ



桜木 「……」



チラッチラッ



後ろを気にする



「………」



「………………」



ザッ!!!!



突如、立ち止まり振り返る



桜木 「やい!テメーなんでさっきからついてきやがる!」



「!!!!」



驚いた表情の桜木軍団







その後ろ



野間(弟) 「オ、オレっすか!?」

(帰り道…こっちなのに…)



立ち尽くす忠二郎の姿







桜木 「違ーーーうっ!!!!」







忠二郎の隣を指差す







米山 「は?」



桜木 「テメーだ!チビヨネ!練習中といいなんでこの天才につきまとうんだ!」



「………」



「………………」



ザッ



ザッ



何も言い返さず、桜木を追い抜いていく米山



「バッカじゃねーの? 帰りがこっちだからに決まってんだろーが。うぬぼれんな」



少し先、振り返り吐き捨てる



ザッ



ザッ



「ふぬ…!」



野間(弟) 「す、すげぇ…!」

(花道さんにあんなに言えるなんて…)




「ふぬぬぬぬ…!!!!」







プツーン







桜木 「だぁぁぁぁ!!!!テメーチビヨネ!今度という今度は容赦しねーぞ!!」



水戸 「まずい!止めろ!」



高宮 「待てって花道!」



大楠 「相手は1年だぞ!」



野間 「忠二郎!お前も手伝え!」



野間(弟) 「え!?無理だよ兄貴!!」



ザッ



ザッ



無視して歩く米山



「ん…?」

(そういえば、なんで今まで気付かなかったんだろう?…花道もこっちの方向なのか)







ブルルルルッ



ブルルルルッ



米山 「ん…?」



ポケットから携帯を取り出す



「………」



米山 「!」

(兄ちゃん…!)



ピッ







米山 「もしもし…」



「よー!恭平!元気にやってるか?」



米山 「うん。もちろんだよ。兄ちゃんも元気そうだね」



「まぁな。部活は、花道とはうまくやってんのか?」



米山 「……」



「ん…?」



米山 「あ、あぁ。ちゃんとやってるよ」







「テメー!チビヨネ!待ちやがれ!!!!」



後ろではまだ騒ぎ声がする







「ん? 花道、そこにいるのか?」



米山 「え?」



「ちょっとかわってくれよ!」



米山 「えぇ…やだよ」



「なんだよ。ちょっとだけだからいいじゃねーか」



米山 「だって…」



「なんだ恭平? お前まさかまた花道と喧嘩ばっかしてんじゃねーだろうな?」



米山 「いや!それは…!」



「だったら…かわれるよな?」



米山 「…わかったよ」







ザッ



ザッ



桜木 「ぬ…?」



不機嫌な表情の米山が桜木のもとへ歩み寄る



桜木 「ほう…自分から謝りにきたか」



すっ



何も言わず桜木に携帯を差し出す



桜木 「む…なんだそれは?」



米山 「電話。出ればわかる」



桜木 「む…?」



少し困惑したまま携帯を受け取る



高宮 「……」

(すげー。最近の若い子は携帯持ってんだな…)



大楠 「……」

(オレなんか…ついこの間までポケベルだったのに)



野間 「……」

(にしても、今の携帯ってあんなに小さいんだな)



水戸 「……」

(これが、時代の流れか…)







桜木 「も、もしもし…?」



「よー!花道!久しぶりだな!」



桜木 「!…その声は、ヨネ!?」



「おう!もう背中は大丈夫なのか?」



桜木 「トーゼン!このアイアンボディ桜木。背中などとっくの昔に完治したぜ」



「そうかそうか。それよりもどうだ? 恭平はちゃんとやってるか?」



桜木 「む…?」



チラッと隣にいる米山(弟)を見る



米山 「なんだよ…」

(けっ…言いたきゃ言えよ)



「………」



「………………」



桜木 「フッ…もちろんだヨネ。ちょうど今から可愛がろうとしてた所だ」



「おぉ!そっかそっか!ありがとう!本当助かるよ」



米山 「…!?」

(何の話してんだ?)



「あいつは根はいいやつなんだけど。なかなか人付き合いが下手だからさ」



桜木 「わかるぞー。この天才が徹底的に治してやる」



「あぁ。本当頼むよ。花道がいるから湘北に行かせたようなもんだしな」



桜木 「ぬ…? どういうことだ?」



「恭平のやつ。オレと同じタイミングで中3になる時に転校しただろ?」



桜木 「あ、あぁ」

(そういえばそうだったな)



「そしたら中学で目をつけられて色々あってさ。体も小さいから、特にな」



桜木 「ぬ…そうなのか」



「まぁ。元があの性格だからあいつにも問題はあるんだけど」



桜木 「……」



「花道が近くにいればそんな心配もないだろうし。お前といれば恭平もちょっとは変わると思ってな」



桜木 「むぅ…」



米山 「おい!花道!もういいだろう!」



携帯を取り上げようと手を伸ばす



「ハハッ。喋り過ぎたな。なら、恭平にも宜しく伝えといてくれ」



桜木 「あ!ヨ、ヨネ!ちょっと待ってくれ!」



「ん?」



桜木 「ヨネはバスケは続けてるのか!?」



「あ、あぁオレか。オレなら大学のサークルで遊び感覚で楽しくやってるぜ」



桜木 「サークル? そうなのか」



「まぁでも、学費とかの諸々の段取りがついたし、夏からは連れとバスケ部に入ろうと思ってんだ」



桜木 「おぉ!」

(サークル? バスケ部? 何が違う?)



「昔の馴染みが関西の大学に進学したからな。地元も近いしオレもそこに進学したんだ」



桜木 「ほう…」



「まぁ、機会があったらオレも試合を見に行くし、花道も遊びにこいよ」



桜木 「おう。その時はこの天才がアドバイスしてやるぞ」



「ハハッ。わかったよ。じゃあな」







ピッ



バッ!!!!



電話を切ると同時に米山が携帯を取り上げる



「バカ花道!喋りすぎなんだよ!」



桜木 「……」



何も言い返さず、米山を見つめる



米山 「…!」

(なんだよ。気持ちわりーな)



水戸 「……」

(へぇ…花道を黙らせるなんて。話し相手はよっぽどなんだな)



すっ



ザッ



ザッ



そのまま歩き出す







「………」



「………………」



桜木と米山を先頭に後ろを桜木軍団と野間(弟)が歩いている







「喜べ。チビヨネ」



前を向いたままぽつりと桜木がつぶやく



米山 「…なんだよ、急に」



桜木 「ヨネのやつ。バスケ部に入るらしいぞ」



米山 「!!!!」



「………」



「………………」



表情は変えずも明らかに嬉しそうな米山












桜木 「フッ…ヨネのやつ。新たなスタートだな」



米山 「……」

(兄ちゃん…よかった)







「む…?」







桜木 「そういえば…」



米山 「…?」



桜木 「ヨネはどこのダイガクにいったんだ?」



米山 「そんなの知ってどうすんだよ? 知った所で、花道が大学に行けるわけねーだろ」



桜木 「なにっ!?テメーチビヨネ!!!!」



つかみかかろうとした瞬間



米山 「関南だよ…」

(まっ、今日ぐらいは素直に答えてやるか)



桜木 「ぬ…?」



米山 「関南学院大学」



桜木 「カンナン…?」

(どっかで聞いたよーな…)







ザッ



ザッ



先ほどの険悪な雰囲気とは打って変わり



辺りを澄んだ空気が包み込む







米山 「……」

(兄ちゃん。オレも頑張るから…兄ちゃんも)







桜木 「……」

(見てろよヨネ。次会ったらぜってぇ負けねぇぞ)












新メンバーの加入により新たなスタートをきった湘北高校バスケ部







少し遅れをとり、



あの男が関南学院大学バスケ部の扉を叩こうとしていた。












新たなスタート



終了



この記事へのコメント
やっぱりミッチーだ!
Posted by バスケットマン at 2014年03月13日 07:08
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