2017年01月27日
スラムダンクの続編妄想#728 淡いひと時
金曜日
「フフーン…フンフンフーン…あぁー、天才ー、天才ー」
鼻歌交じり、
ご機嫌な様子で歩く桜木
「………」
「………………」
ザッ
ザッ
たどり着いた先
湘北高校最寄りの駅前
桜木 「フフーン…やはり、この天才が一番乗りのようだな…」
「………」
駅の入口上にかけられた大時計へ視線をやる
桜木 「まだ5時…集合は6時か…」
満足げな表情
「フッ…」
(集合時間より早めに来て、試合当日へのイメージトレーニングにあてる…)
「これぞまさに…天才の…」
ぶつぶつと独り言をつぶやく
その矢先、
「桜木くん…!」
桜木 「!!!!」
背後からかけられる声、
顔を見ずとも誰かは容易に想像がつく
桜木 「…!」
(ハ、ハルコさん…まさかこの天才が来るのを予想して…!?
キリッ!!
表情を引き締め、
バッ!!
颯爽と振り向く
桜木 「ハルコさん!」
「もおっ!桜木くんたら…!!」
その表情は本気ではなくも明らかに怒っている
桜木 「ハ、ハルコさん!?」
理由がわからず急にあたふたする
「………」
その様子を見ていた晴子
「やっぱり…彩子さんが予想した通り…」
桜木 「…?」
わずかに微笑みながら、
晴子 「桜木くん、集合時間は何時だと思ってたの??」
桜木 「え? そ、そりゃあリョーちんが言ってた通りロク時では…?」
晴子 「フフッ。違うわよ。宮城さんは16時って言ったのよ」
桜木 「ジューロク時…? ……つまり、12時から…」
指を折り、
一つずつ数える
「ハッ………!!!!!」
何かに気づいた桜木
同時に晴子の脳裏、
少し前、宮城と彩子の会話が蘇る
………
宮城 「ったく…バカ花道のやつ…遅刻しやがって…!」
彩子 「ねぇ、リョータ…ちゃんと時間を伝えたの?」
(桜木花道のことだから…絶対私の話は聞いてないと思ったけど…)
宮城 「もちろんだよアヤちゃん…ちゃんと16時って…」
彩子 「え…?」
宮城 「ん…? だから16時って…」
彩子 「それよ…!」
何かに気づいた様子
宮城 「…??」
彩子 「だから、16時を6時…つまり18時って勘違いしているんじゃないかしら…? あの子」
宮城 「まさか…!!!!」
彩子 「あり得るわよ。それかひょんな拍子で、10を忘れて6時って勘違いしたとか…」
宮城 「そんな…!!」
(な、なんだそれ…!?)
「まさかやそんなばっかりをしてきた子じゃない…桜木花道は…!」
ふくれっ面の彩子
宮城 「ゴ、ゴメンよ…アヤちゃん…」
………
「とりあえず…無事桜木くんも来てくれたし…これで一安心ね…」
胸をなでおろす晴子
桜木 「ハ、ハルコさん…!」
その寛大さに、
涙ぐみそうになる
その後、
「じゃあ…行こっか…!」
改札へと歩き出す晴子
その後姿を見つめ、
桜木 「ハッ!? こ、これは…!」
今から、
埼玉につくまでの約2時間半、
車内で二人きりの時間を過ごすということに、
気持ちがどんどん高ぶっていく桜木
桜木 「…!」
(またとない…絶好の二人きりのひと時…!!)
と、
その時、
バシィィィッ!!
後ろから何かバッグのようなものでケツを叩かれる
「なっ!?」
バッ!!
振り返った先
「おせーんだよ。バカ花道…!」
桜木 「なっ!? なぜお前が…!」
そこには、米山の姿。
続く
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