2021年06月03日

スラムダンクの続編妄想#1444 自然と疎かに





ダン…



ダン…







「そういえば…以前にも似たような事がありましたね…」



彩子 「え…?」



湘北ベンチ



試合を静観していた安西が独り言のようにゆっくりと口を開き始める。







安西 「桜木くんがバスケットを始めて一年と少し…本当に彼の成長には驚かされるばかりです…」



彩子 「………」



安西 「センターとしても、今年の神奈川県内では1、2位を争うプレイヤーだったことは間違いないでしょう…」



彩子 「………」

(桜木花道…)



安西 「でも…だからこそ、そこに落とし穴があるのです…」



彩子 「…!?」



発言に驚いた様子







安西 「トップを争うということは…逆に言うなら、県内多くの他の選手には明らかに勝っているという事…」



彩子 「そう…ですね…」



安西 「しかも、桜木くんはスピードも抜群でパスカットも狙える選手…そうなると、何が起こってくると思いますか…?」



「………」



「………………」



数秒の沈黙後



彩子 「…もしかして、守り方とか…ですか?」



安西 「ほっほっ…その通りです…」













そして、



安西 「単純なことで、桜木くんは自分が思っている以上に以前に比べて腰が上がってしまっているんですよ」



彩子 「!」



安西 「なぜなら…それでも神奈川では十分通用していた…」



彩子 「………」



安西 「加えて、腰が浮いて初動が早い分、パスカットもより狙いやすくなっていたはずです…」



彩子 「なるほど…確かに言われてみれば…」

(確かに以前に比べると…桜木花道が飛び出してのカットって多くなっていたわね)



完全に腑に落ちた表情







安西 「ほっほっ…自然と大事な事が疎かになっていたわけですね」



彩子 「…!」



安西 「では、彩子くん。桜木くんはどうすべきかわかりますね…」



彩子 「はい…!」



安西 「本人も今のディフェンスでそれに気づいたようですから…もう少し見守ってあげましょう」



彩子 「!」







その後、



二人の視線はコート上の桜木へ。







彩子 「………」

(頼んだわよ…桜木花道…)







湘北高校

#4/G/宮城リョータ/170p/60s/3年
#13/F/鳴川祥真/182p/69s/1年
#9/F/流川楓/190p/80s/2年
#8/PF/桜木花道/192p/86s/2年
#15/C/ 結城洋介/189p/69s/1年


七王子学園高校

#11/G/酒井圭一/169cm/63kg/2年
#7/SG/後上祥太郎/178cm/65kg/3年
#4/F/小田井楼/193cm/84kg/3年
#5/PF/白川裕一郎/196p/88s/3年
#8/C/ハビエル・ブーナ /201p/111s/3年







タイマー 4:33



湘北 29
七王子 36







ダンッ!



ダンダンッ!!







キュキュッ



コート上、湘北のオフェンスも間もなくショットクロック10秒







キュッ



ダダンッ!!



宮城 「流川っ!!」



ピッ!!







ウイングへと開いた流川へパスが通る







キュキュッ



ダンッ!!



楼 「!」



ミートと同時、



一度右へフェイクを入れ左にドライブ



楼 「くっ!」

(スピードで強引に来るつもりか…!)



ディフェンスも懸命に反応














流川 「………」



しかし、







キュキュッ



ダダンッ!!



急ストップからの切り返し



楼 「なっ!?」

(そのスピードから切り返すのか…!?)



流川 「………」







そう見せかけて、



ダンッ!!



再び左へドライブ



楼 「しまっ…!!」

(ロッカーモーション…!!)







そのまま、



白川 「カバー!!出るぞ!!」



ダンッ!!



白川 「!?」



ヘルプに出たディフェンスをワンドリブルで軽々かわし、







バスッ!!



楼 「!」

(コイツ…ギアを上げてきたのか…!?)



颯爽とリバースレイアップを決める。







タイマー 4:28



湘北 31
七王子 36







安田 「ナイッシュー流川っ!!」



角田 「これで5点差だぞ!ディフェンス集中!」



潮崎 「そうだ!!ここだっ!しっかり止めよう!」







パンパンッ!!!!



宮城 「さぁ!ディフェンスッ!!!!」



ベンチの声に同調するように気を引き締める。







その空気の中、







「悪かったな…ゴリ…」

(基本が大事…だったよな…!)



一際気合の入った様子の桜木が、



「フゥ…」



深呼吸を一つ入れディフェンスへと走る。







続く