2023年02月04日

スラムダンクの続編妄想#1644 その後に





「さぁ、いこうか…!」



「オォッ!!」

「ハイッ!!」







キュキュッ



キュッ







コート上、



第3試合へ向けてアップに向かう陵南







「………」



「………………」







先頭を歩く仙道が見つめるのは、




湘北   83
名朋工業 81



つい先ほど、



終わったばかりの第2試合の結果。







仙道 「フッ…やっぱり、勝ったみてーだな…」



嬉しそうに呟くと、



植草 「あぁ。オレ達も負けてられないな…」



隣を歩く植草も口を開く。







一方、



ベンチサイド



「ホンマ、あんなアンビリーバブルな試合…仙道さんと植草さんは生で見なくてよかったんやろか…」



残念そうに嘆く彦一に、



「フッ…余計な感情移入などせず、自分たちの試合に集中しているということだ。彦一も見習うがいい…」



諭す田岡。







だが、



直後…



平政 「いやー、本当凄かったっすね…今の試合…」



越野 「あぁ。自分たちの試合以外であんなに興奮したのは久々だぜ」



興奮冷めやらぬ様子で田岡の前を通り過ぎていく二人







彦一 「………」

(あ、あかん…越野さん…今は…!)



田岡 「むぅ…」

















その頃、



湘北選手らの控え室







鳴川 「マジでヤバいっスよ!!あの名朋に勝つなんて…!」



潮崎 「ハハッ…そんな風に言うけど、ナルも十分に活躍してたぞ」



角田 「あぁ。あの中でやりあえてたんだ…お前だって十分凄い選手だよ」



石井 「そうそう。森重からチャージとった瞬間をオレは一生忘れねーよ…」



鳴川 「ヘヘ…まぁそれを言うなら、ヨネやユーキに野間だって…」



安田 「そうだな。確かに一人一人の活躍あっての勝利だったと思うよ…」



宮城 「あぁ…」



激闘を終えた控え室は和やかな雰囲気







「………」



「………………」







その声がかすかに聞こえる場所



控え室側のちょっとしたスペースに座りストレッチに取り組む桜木。







グッ!!



桜木 「ぬ…!」



グッ!!!!



桜木 「ぐぬ…!!」



背中を彩子に押される度、



漏れる呻き声








桜木 「ちょ…ちょっと…」



彩子 「何よ桜木花道…?」



桜木 「もうちょっと…」



強度を緩めるようお願いしようとするが、



彩子 「何言ってるのよ!今のうちにしっかり伸ばしてほぐしとかないと…」



グッ!!!!!!



桜木 「ふぬっ!!」



より強さ増す柔軟







彩子 「………」

(初めてだわ…この子の体がこんなに強張ってるのは…)







彩子 「………」

(とにかく…少しでもほぐしてあげないと…)














すると、



キュッ



キュッ



彩子・桜木 「………」







桜木 「む…?」



どこからともなく感じる人の視線







すっ



気配のする方へ目をやると…



桜木 「…!」







約5メートル程離れた場所から桜木を見つめる名朋・森重の姿







桜木 「ゴリ重…!」







「………」



「………………」







キュッ



おもむろに桜木に近づくと…







森重 「………」



ストレッチしている姿を上からまじまじと見つめた後







森重 「フッ…」



まるで「ボロボロだな」そう言わんばかりに鼻で笑う。







すぐさま、



桜木 「チッ…!」



バッ!!



立ち上がって詰め寄ろうとするが…







「次は…」



桜木 「…!?」



珍しい森重からの発言に、



中腰姿勢のまま動きが止まり、



森重 「次は…試合も勝つ…」



桜木 「………」



そのまま森重の言葉を黙って聞くことに。







そして、



キュッ



来た道を引き返すように歩いていく森重。







すぐさま、



桜木 「待ちやがれっ!!ゴリ重っ!」



立ち上がり声をかけると、



森重 「………」



桜木 「いつでも相手になってやるよ…!」



先の言葉に負けじと上から目線の言葉。







そこから、



「………」



「………………」



数秒睨みあった後、



すっ



再び歩き出す森重







キュッ



数歩進んだ所で、



「ん…?」



何かを思い出したように振り返ると…







森重 「フッ…勝ったのは圧倒的にオレだろ…」



桜木 「…!」



森重 「あと…オレはゴリ重じゃなく森重だ…」



そう、



付け足すように言い…







その最後、



独り言のように…



森重 「フッ…桜木花道か…」



小さく呟き、



その場を後にする。







桜木 「…?」

(あ? なんて言ったんだ…?)







続く